冬の寒い夜、普段聞こえない遠くを走る電車や踏切の音が聞こえてきたということはありませんか?
もちろん、夜は周りが静かだからという理由もありますが、実は気温も音の伝わり方に影響を与えているんです。
そもそも音というのは、周りにある空気を振動させて波となって伝わってきます。
この波が耳の中の鼓膜を振動させることによって音が聞こえるのですが…
では、なぜ他の季節と比べて冬は遠くまで音が届くのでしょう?
昼は太陽に照らされて、地表近くの温度が高くなります。この時、音は速く伝わり、
上向きに屈折しながら進んでいきます。このため、音は上空方向へ逃げていってしまうので、
地上にいる私達には届きにくくなります。
一方で、夜は放射冷却などによって地表の温度が下がり、上空は温かい状態になります。
すると音は上空に逃げずに地表近くで拡散するため、地上の私達に届きやすくなるのです。
このような気温の変化は、夏よりも冬に起こりやすく、そのため冬の夜は遠くの音が聞こえやすくなるというわけです。
普段何気なく耳にしている音も、季節や聞く時間によって少しずつ変化していますので、
ふと耳を澄ませて聞こえの変化を楽しんでみてはいかがでしょうか。