先日、福島県郡山市で開催されたとあるイベントに参加してきました。
それは「字幕のあるポケモンカード交流会」というイベントです。
主催は「要約筆記こおりやま」というNPOさんです。
このイベントは聴覚障害者の方に情報保障と呼ばれる要約筆記などのサポートをしながら、
ポケモンカードゲームというカードゲームで遊んでみようというものです。
(私はこのゲームを小学生の息子の遊び相手から始めてハマってしまいました)
イベントは回数を重ねて、今では聴覚障害の有無に関係なく、
一般の人(私もその一人)も参加するようになり、みんなでゲームを楽しむイベントになっています。
※小さな子から、大人までまで幅広い年齢の方が来ていました。
このポケモンカードゲームというゲーム、ものすごくざっくり説明しますと
トランプのように紙のカードを用いて60枚の「デッキ」というものを作り、1対1で対戦する卓上ゲームです。
そして、ゲームの進行は自分のプレイを相手に宣言しながら行わなくてはなりません。
例えば「ピカチュウにエネルギーを1枚付けます。技宣言します『10まんボルト』、
相手に120ダメージを与えてきぜつさせます」みたいな感じです。
ですので会話のやりとりが必要で、聴覚障害のある方にはハードルの高い競技です。
そこで今回のイベントでは「AmiVoice」と呼ばれる特殊な集音マイクと
集音した声をAIが認識して字幕化する「YYprove」と呼ばれるアプリを使用して競技を手助けします。
※このように会話を文字起こししてくれます。
実際対戦する場合、相手の聴覚の状態によっては字幕は必要ない場合もあります。
マスクを外して口が見えるようにし、ゆっくり・はっきり伝えれば理解できる方もいます。
ですが字幕のサポートがあればより分かりやすくなるかもしれません。
ここで大事なことは障害には幅がある、という事です。
補聴器使用者の聴力によっては「使用しなくてもだいたい聞き取れるが、使用した方が楽」という方もいれば、「普段は音声がほとんど聞こえないが、補聴器を使うとなんとか会話が聞き取れる」という方もいます。
共通して言えることはサポートを手厚くすることで障害による「バリア」をより多く取り除くことが出来る、という事です。
ここからが今日の本題です(前置き長くてすいません)。障害者差別解消法という法律はご存じでしょうか。
正式には「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」と言います。平成28年からスタートしています。
この法律が求めるものは「不当な差別的取り扱い」の禁止と「合理的配慮」の提供です。
そして「障害のある人もない人も互いにその人らしさを認め合いながらともに生きる社会」を目指すのが目的です(これを共生社会と言います)。
今までは公共機関などの役所や学校などが対象でしたが、この4月からは会社やお店などの事業者も対応に努めることとなります。
この「合理的配慮」というのが、先ほどの障害による「バリア」をなるべく取り除くために対応していきましょうということになります。難聴に関して言えば先ほどの字幕アプリ、筆談するためにボードを用意する、もっと簡単に出来ることですと「ゆっくり・はっきり」話すことも当てはまるのではないでしょうか。
私は補聴器専門店で働き、お店ではたくさんの聞こえにお困りの方にお会いします。
しかし実際に社会の中でお会いしたりコミュニケーションをすることは少なく、今回参加したイベントはとてもよい経験になりました。
これからも補聴器を通して聞こえの手助けをしていきたいと思います。
※今回の写真はNPO要約筆記こおりやまさんに提供頂きました。ありがとうございます。